こんにちは、めぐる(@fpmeguru)です。
今回は、先日参加した「FPフェア2020」の講義
行動経済学と『ナッジ』:意思決定は合理的か
講師:竹内幹氏(一橋大学大学院経済学研究科)
のまとめと感想を書きます。
※今回こちらの記事で使用している表や画像は、この講義のレジュメを参考にして私が作ったものです。
レジュメの資料をそのまま載せるのはNGかな?と思ったので、参考にさせて頂き作り直しました。
FPフェア2020 in東京のイベントの感想はこちら↓
Contents
「行動経済学」とは?
行動経済学とは、ざっくりと説明すると
心理学+経済学
とのこと。
そして今回のテーマは、人間は合理的ではないということについて。
意思決定においては、リスクや曖昧さが必ず介在するため、それらを合理的に判断する必要がある…が!!
(ある程度システマティックな)認知のバイアスがあり、時に人は合理的な判断ができなくなる。
バイアスをなくすことは困難なため、それらのバイアスを知っておくべき
代表的なバイアス
①確率加重関数
→確率がわかっていても、認識する時にズレが生じる。
②S字型の価値関数
→損失がある時に無謀なリスクを取りがち。
③平均への回帰
→状況を正しく推測できず目先にとらわれる。
④確証バイアス
→不都合な真実(失敗)に直面できない。思い込みから抜け出せない。

具体的な説明と例
①確率加重関数
客観的な確率がわかっていても、それを歪めてしまう。
・雷にうたれるかもしれない…
・飛行機が墜落するかもしれない…
客観的な確率よりも、もっと起きる確率が高いように感じてしまう。
【例】喫煙者100人のうち、肺がんにかかるのは何人だと思いますか?
回答の平均:42.6人
実際の確率:6〜7人
②S字型の価値関数
人の感じ方は、S字型をしている。
→「損失回避」=逃した魚は大きい
→負けが続くと一か八かにかける
【例】
選択肢Aを選ぶと、みかんが1個か2個もらえます。確率は50%ずつです。
選択肢Bを選ぶと、みかんが2個か1個もらえます。確率は50%ずつです。
これは、実際にみかんが2つもらえる確率は、選択肢AもBも50%ですが、選択肢Aを選ぶ人が多いそうです。
A:「1つだったのが2つもらえた!ラッキー!」
B:「2つだったのに1つしかもらえなかった!」
これが「損失回避」という認知バイアスです。
③平均への回帰
【例】投資マネジメント会社のパフォーマンス。
「最近パフォーマンスが良い」→新規契約が多くなる
「最近パフォーマンスが良くない」→契約解除が多くなる
しかし超過リターンもランダムウォークであり、これだと「高値掴みの底値売り」になってしまい、運用成績に裏目に出てしまう。
上がったり下がったりしながら、時間をかけて平均値に近づいていく。
④確証バイアス
自分の思い込みや自分の意見に合致する情報を良く評価し、そうでないものは見ない傾向。
多くは無意識・無自覚。
ナッジとは
ちょっとした仕掛けにより、自発的に動いてもらうこと。
強制しない、やせがまんしない。
①人は楽しいことが好き
いかに楽しくやってもらうか。
【例】公園の灰皿を簡単なアンケート形式に。
例えば「超能力といえば?」というお題があり、「空を飛べる」「透明人間になる」という選択肢がある。
二つの選択肢の下にタバコの吸殻を入れる穴があり、投票するような形になっている。
中をあえて透明にしており、今どちらが多いのかも見てわかるようになっている。
②まわりの人がとても大事
【例】病院のトイレ(病院スタッフも使用)の張り紙
「手洗いは感染からあなたを守ります」
「手洗いは感染から患者さんを守ります」
→後者の方が石鹸消費量が増えた
③でも、人はあんまり考えない
・なにげなくやる回路を利用する
・ついうまくやってしまう仕掛け
・そして、タイミングが大事
【例】「こちらでお待ちください」の足跡のマーク
新型コロナウイルス対策で「ソーシャルディスタンス」という言葉があります。
例えばお店のレジに並ぶ場合
「前のお客様との間隔を2m以上開けてください」
と張り紙をするよりも
この方が簡単にできるし、みんなやる。
【例2】公園のゴミ箱に向かって足跡マークをつけていくと、ポイ捨てが減る
④やっぱり、人はがんばりたい
人は自分の頑張りを重視する。
【例】「粉と水」だけでできるパンケーキミックスは売れなかったが、「粉と水と卵」にすると大ヒット!
【例2】折り紙をがんばって折る。他人には紙屑かもしれないけれど、自分には特別。
→手順が難しいものほど、愛着が生まれる。
⑤損得を超えた「社会規範」
・人は、社会規範(道徳・思いやり等)で動く
・人は、市場規範(節約・金儲け等)で動く
この両者のバランスで生きている。
【例】保育園のお迎え。
遅刻者が多いので、延長料金を科すようにした。
すると遅刻が増えた。
後日、延長料金を廃止したが、遅刻はもとに戻らなかった。
→社会規範を「お金」という市場規範に置き換えてしまうと、なかなか元には戻らない。
まとめ
身近な例えも多く、聞いていてとても面白い講義でした!
行動経済学って、あまり聞き慣れない言葉でしたが、実は私たちの普段の生活にも結構使われているのかも??
そして、認知のバイアスはきちんと心に留めておくべきだなと思いました。
(思い当たる節がたくさんある…!!)
こういうのを知っておくだけで、また違った見方ができそうですね。
