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小説「何者」読了!

2019-11-12

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小説「何者」

朝井リョウ 著

 

 

 

就職活動をテーマに繰り広げられる人間関係のお話。

私の中で「就活」って青春の1つだったから、共感できる部分も多いかな、と思って。あとはタイトルに惹かれたのもありました。

すごく刺さった!!!

この作品に出てくる登場人物の気持ち、やっていること、みんな違うはずなのに「全部私??」と思うくらい、ピッタリとハマりました。

(私の頭の中は大学生から進んでいないのか?笑)

 

Twitter、インスタグラム、ブログ、LINE…

就職活動はES出してwebテスト、面接、合格したら電話が来る、不合格ならメールで通知…

現代の文化と就職活動なので、10年後にその時の就活生が読んでも、しっくり来ない部分があるのかな?

まさにこの時代に生きた私は、どっぷりと、この世界観に浸かることができました。

 

※ネタバレが嫌な方は、この先は見ないようにお願いします☆ 

 

 

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「何者」かになりたいという気持ち

 

承認欲求の一種なのかな、と思います。

 

「自分は人と違う」という思いだったり

こんなことやってます!ってアピールしたり

俯瞰的になってみたり、批評してみたり

人のことをバカにしたり、マウントとったり

取り繕ったり

 

そうでもしていないと、自分が何なのか、わからなくなってしまうのかもしれない。

私もそう。

 

誰かに認められて、形作ってもらわないと、どうその場に居れば良いのかわからない。

「私のなりたい私」として生きていないと不安になる。

そのうち「私」と「私のなりたい私」の境目がわからなくなっていく。

 

 

 

二宮拓人

「心の中で思ってることって、知らず知らずのうちに、相手に伝わってるもんだよ。どれだけちゃんとスーツ着てても、どれだけもうひとつのアカウントを隠しても、あんたの心の内側は、相手に覗かれてる」
「カッコ悪い姿のままあがくことができないあんたの本当の姿は、誰にだって伝わってるよ。そんな人、どの会社だって欲しいと思うわけないじゃん」

 

これは、二宮拓人という人物をよく表した台詞だと思う。

よく他人を見ていて、観察・分析が好きなこの方。

実はTwitterの裏アカウントを持っており、そこで呟いていることは結構辛辣

人を小馬鹿にしているようにも見える

 

でもこの気持ちは凄くわかる。私もそういう所あると思う。(決して人を馬鹿にしているつもりはないんだけど…)

分析したことを表現しようとすると、どうしても批判的に聞こえてしまうんですよね。

 

私も大学生の頃、とある人に言われた一言がショックで、そこから表現の仕方を考えるようになったんですよね。

 

「めぐるって、批判的だよね~」

 

「批判的」って、私の中では凄くイメージの悪い言葉で、結構ビックリしました。

その方も、おそらく本当に悪気なく言ったことで、私が驚いて何も言わなかったからか

「あ、ごめん!悪い意味じゃなくてね!!めぐるは、色んな事をよく見てるなぁって思ったの」

って、付け加えてくれましたが…。

 

私も観察や分析は大好きなので(そしてよく自分の世界に浸る。笑)、この方が裏アカウントで呟いていたようなことを、日常茶飯事で思っていたりする。

…でも、確かに、こういうのって結構相手に伝わっているのかもしれない。私もよく「何考えてるかわからない」「壁を感じる」って言われてきた。

長く私と一緒に居る人は、どこかで「あ~また取り繕ってるわ~w」って思って私のことを見ているのかもしれない。笑

 

それでも今はまだ、取り繕うことをやめるつもりはないのですが。

 

ちなみに、他にも好きなシーンがあって

ずっと好きだった、と思わず言ってしまいそうになった。

ってところ。

 

いつもクールでどこか俯瞰的なので、こういう感情のままの表現って、人間味があって良いなぁと思ったのです。

きっと、どこかでカッコ悪くあがくことも、経験の一つとして大事だと思う!!

そうでもしないと手に入らないものも、あるのかもしれないですね。

 

 

 

神谷光太郎

「俺さ、就活って内定出たら終わりって思ってたけど、ちげぇわ」
「就活は終わったけど、俺、何にもなれた気がしねえ」

 

コミュニケーション能力が高くて、クラスの中心にいるようなタイプの人だなぁと思いました。

明るくて、気も遣えて、その場の空気をもっていけるような人。

…うらやましい。笑

 

それでもきっと、色んな事が見えて、色んな事を考えているんだと思う。

上記の台詞のように、こういう人でも、自分のことについて悩んだり考えたりするんだなぁって。

 

私はムードメーカーみたいなタイプではないので、この話の中でもこの方に対して、正直共感できるところは少ないのだけど。笑

「あ~いるよね!こういう人!!」

っていう位置づけ。

 

でも、何も考えていないわけじゃないし、人一倍空気を読もうとして、気を遣っている…かもしれない、ということは覚えておきたい。

一見才能のように見えるかもしれないけれど、もしかしたら、本人の努力の上でこういう性格は成り立っているのかもしれない。

 

 

 

田名部瑞月

「光太郎は、自分の人生の中にドラマを見つけて、そのドラマの主人公になれるんだよ」
「なんか、邪魔しちゃいけないなって思った。人生の中にまだまだ素敵なドラマを見つけられる光太郎をね、いちいち現実のことを考えなくちゃいけない私なんかが邪魔しちゃいけないって思ったの」

 

この作品の中にあって、あまり人の汚い部分とか、醜い部分とかを見せないこの方。

素直に物事をとらえられるし、素直に表現できる人なのだと思う。

 

やりたいことや目標はあったのだろうけれど、家庭の事情で、就活の方向性を変える。

…ん~これは辛すぎる…と思う。この歳で…

周りが希望を持って前に進んでいく中で、自由に出来ないもどかしさ、とか。

 


大人になると、自分以外のことで、自由を制限されることが増えてきます。

自分の選択したことだから、後悔はないんだけれど…

周りに、自分の近くに、キラキラと輝いている人を見ると、無性に羨ましくなる。

嫉妬に近いものがありますね。

 

こういう気持ちは、私は今の状況になってわかったかな

20代の頃は、それこそ自由で、自分の好きな仕事をやっていました。

プライベートの時間も惜しんで仕事に没頭して、結果を残して、認められるようになり、周りに人も増えていって…

でも、数年前に転職して、今の仕事に就きました。

自分の将来とか、家庭の事情とか、人との縁とか、色んなことを考慮して、一番良い選択をしたつもり。

 

そういう事情もあり、今でも活き活きと忙しく、自分の好きなことを仕事にして没頭している人を見ると、なんだか虚しさだったり寂しさだったり、モヤモヤしたものがあふれてくるのです。

私だって、やりたいこととか、憧れとか、ないわけじゃないんです。

でも今の状況に納得しているんです。選択を間違っているとは思わない。

 

そんな個人的な事情で共感する部分は多かったです。

 

 

 

小早川理香

「私だって、ツイッターで自分の努力を実況中継していないと、立っていられない」
「ダサくてカッコ悪い自分を理想の自分に近づけることしか、もう私にできることはないんだよ」

 

…私のことか??

 


思い当たるフシが多くて多くて。

 

「スラッシュマークでブツ切りにされた理香さんの自己紹介文が、ひとつずつ、俺の頭の中で点滅する」

 

↑…あっ……スラッシュマーク笑

 

「この人は名刺を着て歩いているみたいだ」

「名刺に並べてあるような肩書きを盾にしないと、理香さんは何も話せないんだと思った」

 

わかるわかる。何かの型に当てはめることでしか、自分をアピールする方法なんて知らないし。

 

でももう、自分の在り方みたいなものに、気づいているのが凄いなぁと思いました。

「いい加減気づこうよ。私たちは、何者かになんてなれない」

「自分は自分にしかなれないんだよ。だって、留学したってインターンしたってボランティアしたって、私は全然変わらなかったもん。憧れの、理想の誰にもなれなかった」

大学生で、ここまで考えて自分を見つめることができるのかー。色々な経験をしているからかな?

 

私は、これからも自分の努力は発信するし、一生懸命何か多くの型にはまろうとするし、充実アピールみたいなものもすると思う。笑

それで安心できる部分もあるし、虚しさみたいなのを埋める一つの手段なのです。

きっと、何やってるんだろうってバカにしたり笑ったりする人もいると思うけれど。

 

 

 

宮本隆良

「俺は流されたくないんだよね、就職活動っていう、なんていうの?見えない社会の流れみたいなものに」

 

厨二か!!!

スカしてるなー。

 

上記の台詞は、就活の対策をしていた四人がいる所で言っていたのですが。

私だったら「空気読めよ…」って思っちゃうね。笑

わざわざ自分アピールのために、人のやっていることを批判したり、人の意見と反対のことを言ったりという方法は、私は好きではない。(そう思うのは自由だけど、わざわざ言う必要はないと思っています。嫌われたくないからね。笑)

 

ただ、「人脈は本当に大事だよな」って発言などは、気持ちはわかるし、方向性の違う「意識高い系」なのかもしれない。

 

それでも、こっそりと就活のことを光太郎に聞いたりする所は、「我が道を行く」なんて姿勢を見せていても、不安なのかな〜と。人と違うということが、ひとつの精神的な支えになっているのかな。(私はそっちの方が不安だけどな〜…)

 

理香さんに「分厚くて難しそうな本をずっと読み終わらない」って言われてるのは、ちょっと面白かった。笑

いやいや、わかる。

私も「こんな本読んでる」とか言って、小難しい本読んで、全然読み終わらない。笑

「こんな本」を読んでいる自分がカッコイイと思っているだけなんです。

 

何かを成し遂げる前から、あれやってます、これやってますアピールだけは上手いんだよね。

私と似ている部分も多いと思うけれど、アプローチの仕方が全然違う人なんだろうなぁ。

 

 

 

続編があったら良いのに!

 

人の心理的な部分が細かく描写されており、共感できる所が多かったからかもしれませんが、本当に面白かった!!!

 

今回は、就職活動をテーマにした大学生のお話でしたが。

10年後、この5人がどうなっているのかも見てみたい!!

社会に出て、環境も変わって、色々と気づいたり考えたりすることもあって。

どんな風に変わっているのかな??なんて思います。

 

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